ビジネスコミックを書くときに、
何が大変かと言って、
私の場合はセリフの量の調整に、
いつも苦労する。
何しろ言葉を読むのも、
書くのも好きなので、
つい長く書いてしまうからだ。
言葉を尽くす、
という慣用句があるように、
何かを表現するときに、
こちらが考えている内容を、
できる限りこちらが考えているように、
相手に伝えようとすると、
どうしても使う言葉が多くなる。
テレパシーがないわけだから、
お互いの共通言語を使って、
相手が理解できるように、
言葉を駆使して説明しなければならないからだ。
でも、それがビジネスコミックの場合は、
逆の作業になる。
できるだけ短い言葉で、
それでいて読み手にきちんと伝わるように、
シナリオを書く必要があるから難しい。
これが本当に難しい。
漫画ということで、
紙面を大きく占めるのはもちろん絵だ。
吹き出しも含め、
言葉が入るスペースは本当に少ない。
そこにある程度の情報量を、
埋め込んでいかなければいけないわけだ。
だから、書くときは毎回、
元にある本を何度も読み込み、
そこに書かれてある、
最も大事な核心はどこにあるか?
を常に考えている。
どの枝を落としてもいいのか?
どの枝はしっかりと残すべきなのか?
これを見極めなければならない。
それはまさに、
美しい盆栽を作るような心持ちだ。
内容的には説明したいが、
ただ説明するだけでは面白くないし、
じゃあそれをどういう例えで話したらいいか?
どういうシチュエーションで会話させればいいか?
シーンに勢いが出しつつ説明するにはどうする?
どういう表情にすれば感情として伝わるか?
などなどを駆使しながら、
最終的なシナリオに落としていく。
説明が多くてもつまらないし、
逆に少なすぎてもいけない。
常に心地よいバランスを探す。
美しいバランスになるよう、
余計な枝葉を切り落としていく。
これが、シナリオを書くときに、
最も気にしていることだ。
ただ、それが本当に難しい。
今でも必死のパッチで、勉強している最中だ。
と言いながら、
この作業は常に頭に汗がかけるし、
今も新しい発見があるので、
とても楽しい作業なのである。