美味しい餃子の向こうに深遠なる人生の営みが。
「成田にとても美味しい餃子を出す店があるから行こう」と
友人からお誘いを受けて、一路車で成田まで行ってきた。
「14時にはなくなっちゃうから早めに行かないとね」
と言われていたにも関わらず、12時あたりに東京を出るという、
スケジュールになってしまい、焦る焦る。
もしなかったらどうしようと若干の不安を抱えながらも、
着いた先は、あの成田屋でも有名な成田山新勝寺のお膝元。
正門からほど近くにある、
まさに地元に愛されていそうな昭和な佇まいをした、
「仁康」
見た目からすでに美味しさがプンプン漂っている感じだ。
朝食も抜いてきたのに加え、すでに14時近いので、お腹はペコペコ。
すぐに入ると、店主が友人に笑顔で声をかけてくれました。
話が伝わっていたのか、店主は餃子を確保しておいてくれたらしく、
「餃子焼いちゃうよ」
と早速準備に取り掛かってくれます。
「ここはチャーシューメンも美味しいからさ」
友人の言葉に一も二もなく全力で頷き、待つこと数分。
やってきました!
いやあ、間違いない外見!
もちろん味も想像通り、いや、想像通りの中の想像以上!
ラーメンは進化せど、醤油ラーメンといえば、この味だ。
美味しい。
箸が止まらない。
そして、もちろん今日の主役の餃子も登場。
どうですかこの見た目。
そして食感がまた初めての感覚。
一言で言えば、尋常ならざる「モチモチ感」。
外はカリカリ、中は野菜たっぷり、ニンニクバッチリ、
そして、皮が弾力満点モッチモチだ!
一口でなんてとてもいけない。
一つが大きめのおいなりさんぐらいあるのだ。
頬張るたびに肉汁が口の中で溢れかえる。
美味しい。
すぐにお腹いっぱいになるかと思いきや、
それがそれが。
野菜たっぷりのためか、どんどん入る。
二人で、
チャーシューメン、
チャーハン、
オムライス、
餃子12個
をあっという間に平らげた。
この店はじつは、
全く違う業界で働いていた今の店主が、
その味に惚れ込んで、もう高齢で店を閉じようとしていた前の店主に頼み込んで味を継いだという経緯がある。
それがなければ、終わっていたかもしれない店なのだ。
「だって美味いでしょ! これが餃子だよほんとに!」
「いいでしょこの店! こういうのは残さないとダメでしょ!」
豪快に笑いながらそう言う店主。
我々も激しく首を縦に振った。
まさにそうだ。
小ぎれいな店ばかりが残る世界は、
どこか上っ面のような気がするのだ。
進化し、ソフィストケートされていけば、
どんどんロボットに近づくような気がしてならない。
人間とはなんぞや。
餃子を食べながら、思わず壮大なことを考えてしまった。
これも美味しい餃子だからこそなし得る技だろう。
次から次へくる客に対応しながら、
汗を垂らしてフライパンを振るう店主の姿を、
後ろの方で座りながら穏やかに見ている前の店主がいた。
無事にこの味が継承されて本当に良かった。
満腹のお腹をさすりながら、
その素晴らしい人生の物語の断片を見ていた。
美味しい餃子は私たちを穏やかに、幸せに、してくれる。
餃子万歳。
餃子好きな人はぜひ!
「仁康」
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